麦飯石について詳細編

脱臭効果の実験結果のグラフ

 

●麦飯石の成因

アルカリ長石と石英を主成分とする石英斑岩
鉱物的に見た麦飯石の特徴
(1)麦飯石を−325メッシュ以下という微粉末にして、その一粒を取り出し、電子顕微鏡で観察すると、
まるでサンゴ礁か海綿のように非常に多孔貿であることがわかる。 なお、この多孔性という性質は
麦鉄石の持つ「ミネラルの溶出」「物理的及び科学的活性吸着作用」「イオン交換」などと深い関係が
あることがわかっている。

  一般の石は、あまり多くない物質(即ち元素や化合物)でできているか、多物質の場合はその
一つ一つの物質が比較的少ない含有量で構成されているかのどちらかであるのに対し、麦飯石の
場合は多物質で構成されているうえに、そのうちのいくつかの物質の含有量がきわめて多いという
特殊な形を持っている。
 ジルコンが多量に含まれており、微量のα線が存在し、生物に良影響を与える働きがある。
(例)モヤシの腐敗や鮮度低下の抑制、アマゴ・イワナの水槽飼育

 

●麦飯石の歴史


 麦飯石が漢方薬に用いられたのは、はじめ中国においてである。
天然薬の専門書、いわゆる本草書は、神農本草経をもって始まりとするが、麦飯石がは
じめてその名を採録されているのは、1061年、蘇頌らによってあらわされた本草図経
21巻においてである。
以来、中国本土、台湾、わが国における次の各本草書に、常に麦飯石の名が見える。
1505年 「本草晶彙精要」 
1590年 「本草綱目」 
1801年 「霊根志」
1803年 「本草鋼目啓蒙」
1921年 「中国医学大辞典」 
1930年 「中国地質鉱物大辞典」 
戦前 「石雅」 
〃 「ACompendium of Minerals&Stones 
(=鉱物、岩石類概説)」 
1957年 「本草網目的鉱物史料」 
1969年 「中国薬学大辞典」 
 本草図経が刊行されたのは1061年、ざっと940年余り前である。この頃、すでに
石薬として文献に記載されているということは、経験薬の成り立ち、そして漢方文献の性
質からみて、少なくとも1000年や2000年の歴史的な経験があったと考えざるをえない。
 となると、麦飯石という石が、薬の石として人間に使われはじめてから、おそらく2000年
以上の経過があったと見ても不自然ではないだろう。
 麦飯石は石薬として、各文献には「皮膚病、はれもの、吹き出物、鎮痛、傷口の治療」
に効果ありとされている。その効き目は高く評価されていたようで、本草網目にも「麦飯
石膏の秘法を持った呂子華が、買収や脅迫でその秘法を奪われようとした」エビソードが
記載されている。
 いずれにしても、本草品彙精要から最近の中国薬学大辞典に至るまで、常にほぼ同じ効
能効果があげられているということは、それだけその効能が広く認められていることを意
味しているといえる。

 

●麦飯石の吸着カ


吸着について
 吸着とは、多孔性で表面積が非常に大きく、個体の触媒作用の全ての化学的、物理的な
反応であるが、麦飯石が触媒として働いた場合と水が触媒として働いた場合の2通りがある。
 定義としては、各々が持っている分子間の反応をいう。

≪物理的吸着(ファンデルワールス吸着)≫
   吸着結合の性質による分類の1つで、吸着分子と表面との相互作用が弱い分子間力
 (ファンデルワールスカ)によるものをいう。
  ファンデルワールスカとは、分子間に働く引力の一種で、2つの中性な分子が比較的
  はなれているときでも、その間に働く引力である。2つの分子が近づいた時、それぞれ
 の持つ電子が電気均な反発をすることによって、避けあいながら運動する。そのためあ
 る瞬間は、1つの+電気を帯びた部分と、-電気を帯びた部分とが向かいあうため、弱
 い電気的引力が生じる。
  ファンデルワールスカは弱い力であるが、分子や原子団の接触面積(粒度)が大きく
 なると強くなる。また、イオン化(電子が電荷を帯びた状態になりやすいかどうか)や、
 温度にも左右される。


≪化学的吸着(ケミソープション)≫
  物質を構成する分子は、複数の原子間の結合(化学結合)によってなりたっている。
 この化学結合は、イオン結合・共有結合・金属結合の3つをいうが、いずれも電子(−
 の電気)と原子核(+の電気)が関与している。化学的吸着とはこの化学結合による吸
 着をいう。触媒表面で反応分子の化学的吸着が起こり、反応分子が解離(+イオンと
−イオンにわかれる)したり、歪んだりして著しく反応性が変化し、新しい経路が生まれ
 触蝶作用が進むことになる。


 麦飯石は非常に多孔性であるから、物理的吸着力は高い。 しかしながら、この特徴は活
性炭・ゼオライト・シリカゲルなどにも共通である。麦飯石が他の物質と大きく違うのは、
強い化学的吸着力を持っている点である。
 25000種類以上の物質からなる麦飯石では「元素間親和力註3」が強くなり、物理的に吸着
された残りの有害物質は、多孔質内面に存在する元素、あるいは元素化合物と2次的に反
応し、「元素間親和カ」によって科学的吸着が行なわれる。また、麦飯石には触媒作用があ
り、化学反応が促進される。触媒作用が強いということはその物質の周囲を反応の場に変
える力が高いということである。鉄・チタン・銅・マンガン・亜鉛・パナジュウム等を含
有するから有機物を酸化し分解作用を示す。活性炭・ゼオライト・シリカゲルは勿論、組成
の単純な岩石では化学的吸着・触媒作用、分解作用などは期待できない。

≪麦飯石の触媒作用・分解作用の例≫
 残留塩素の吸着実験(循環法)を観察すると、麦飯石は100分で100%
近く吸着結果を示す。そこで、実際に吸着された残留塩素がどの程度麦飯石に付着し
ているのかを調べてみた。水中に塩素が残っていれば、青く反応するテスト液・ヨードカリ
でんぷん溶液を、麦飯石による循環試験をした水の中に投入してみると、テスト液に対
して反応を示さない。(100分の間に100%近く吸着されているから当然である)。そ
こで100%近くの残留塩素を吸着した麦飯石を水中から取り出して、テスト液を数滴た
らしてみると、テスト液に青く反応するはずなのに殆ど反応を示さない。これは麦飯石に
はすでに残留塩素が存在しないことを意味し、このことは、麦飯石が単純な吸着作用だけ
ではなく、分解作用もする一つの証明と考えられる。


≪その他の特徴≫
1: ミネラルの溶出
  人体にとって不可欠な微量要素であるミネラルを多く含み、特に水につけることによ
 って、多くのミネラルを溶出する。これらが飲料水に含まれることによって味をよくし、
 また細菌を静菌状態にする働きと不要な有機物を吸着もする。

2:水質の調整
 鉄をはじめ、マグネシウム、フッ素などは、
 その水に含有されていないと溶出し、逆に多すぎると吸着作用をする。
 また、PHに関しては弱アルカリ性に調整する。

3:水中の溶存酸素量を豊富にする。
   これによって、麦飯石は酸素を求める生体に非常に有効に働くのである。